引きこもり問題の解決策
自分の子供が「引きこもり」となっている親の多くは将来を不安視されています。しかし、現実的な解決策に向けて歩み出せている親は決して多くありません。しかし、引きこもり問題を放置した場合、将来、大変な事になってしまう危険性があります。
この記事では、引きこもり問題の解決に取り組む重要性について解説すると共に、FPを活用した「引きこもり」の解決策について解説します。
引きこもり問題とは
最初に、引きこもりの定義について確認しておきましょう。
厚生労働省のガイドラインでは、引きこもりを「様々な要因の結果として社会的参加(義務教育を含む就学,非常勤職を含む就労,家庭外での交遊など)を回避し,原則的には6ヵ月以上にわたって概ね家庭にとどまり続けている状態(他者と交わらない形での外出をしていてもよい)を指す現象概念」と定義しています。
「引きこもり」という言葉からは「(対象者が)外出していない」という状態が連想されますが、実際には「外出しているかどうか」は重要ではなく、「社会的参加をしていない」「6ヶ月以上、(家庭外の)第三者と交わっていない」などの点が引きこもりを判定する上でのポイントとなります。
なお、内閣府が2022年11月に行ったアンケート調査からは、引きこもりは国内に146万人いる事が推定されています。そして、この人数は15歳から64歳までの年齢層の2%余りに相当します。
ですから、引きこもり状態になっている人が身近にいたとしても、それは全く珍しい事ではないのです。
引きこもり問題の解決に取り組む重要性
引きこもりとなっている本人の周囲が「何とか状況を改善したい」と悩まれている場合に、その理由として良くお聞きするのは、「引きこもりの状態が長くなるにつれて、本人の社会復帰が難しくなっていくのではないか」という理由です。
そのような点を懸念されるのは良く解りますが、実は、引きこもり問題で懸念すべき最も重要な点は、そのような点ではありません。周囲が最も理解しておかなければならないのは、「引きこもりの対象者に対しては、十分なセーフティネットが用意されていない」という点です。
他の理由で社会参加できない場合、例えば、心身の障害が原因で社会参加できないような場合には、公的な支援(障害年金など)が用意されています。しかし、引きこもりに対しては、そのような支援は用意されていません。
この為、同居の親族(一般的には、対象者の親)が引きこもりとなっている対象者の面倒を見る事が出来ている間は良いのですが、そのような体制が崩れた場合(親が死んだ後など)、引きこもり本人は非常に厳しい状況に陥ります。
もちろん、生活保護という制度はあるのですが、それすらも、引きこもりとなっている対象者が給付を受けるのは難しいという現実があります。また、居住場所の確保(維持)も容易な事ではありません。
ですから、引きこもり問題については、「将来、引きこもり本人が大変な事になるかもしれない(生活が出来ずに生命が危うい状態に陥ってしまう可能性すらある)」という点こそを懸念して頂きたいのです。
そして、少しでも早く、この問題の解決に向けて動き出して頂きたいのです。
引きこもり問題の解決策を考える上での前提
しかし、引きこもり問題を根本的に解決する事は、この問題を良く知らない人が思うほど簡単なものではありません。
本人に「家の外に出て社会的参加をしろ」と伝えるのは簡単ですが、多くのケースにおいて、そのような事が出来れば良いのは本人も良く解っています。何らかの理由で、それがうまくできないからこそ、引きこもりになっているのです。
そして、現在の所、引きこもりを根本的に解決できる即効性のある対策は用意されていません(後述しますが、将来の解決に向けて出来る事はあります)。
この為、引きこもり問題の解決策を考える上では、「現在の引きこもり状態をすぐには解決できない」という前提で検討をするべきです。残念ながら、「いつ、引きこもり状態が解消されるのか」という目処については、多くのケースで想定が出来ません。
引きこもり問題の解決策を検討する難しさ
そして、引きこもり問題を取り巻く環境は、その対象者(と家庭)によって様々です。
例えば、本人が「働きたいと思っているか」「外出はできるか」「コミュニケーションを求めているか」などの事情はケースによって大きく事なります。また、「家族の年齢」「家族の財産や収入」などの周囲の事情も様々です。
この為、引きこもり問題の解決策については、ケース毎に検討する必要があり、それが引きこもり問題への対応を難しくしています。
なお、周囲が「引きこもり問題が発生している事を外部に知られたくない」と考えている場合、その事が問題の解決を更に難しくします。
引きこもり問題への現実的な解決策
これらの事情を踏まえて検討すると、引きこもり問題に対しては、「引きこもり状態が解消するまでの間、対象者が生活で困らない体制を構築する」という事と、「引きこもりを根本解決する為の支援体制を構築する」という事の2つの組み合わせによる対策が現実的な解決策となる事がほとんどです。
特に大事な事は、「将来にわたり、対象者が問題なく生活できる状態が用意できている」という事です。そのような土台さえあれば、時間をかけて、問題の根本解決に取り組む事が可能となります。
そのような土台を築いた上で、将来、引きこもりが完全解決される為の道筋をつける事(通常は、専門機関との接点の構築と維持)によって、最悪の事態を回避しながら、引きこもり問題を根本解決する事が可能となるのです。
引きこもり問題を解決する為に必要なスキル
そして、そのような対応を進めていく上で最も必要となるのは、「お金の問題」に対応できる能力です。
長期的に引きこもり対象者が生活していく事の出来る土台を構築する事は容易な事ではありません。対象者が生活を続けていく為のプランを描き、また、そのプランの実行を支援する為には、「お金の問題」を解決する為の専門的なスキルが必要となります。
もちろん、その他にも、個々の事情にあった解決策を導き出す為の「関係者と深いコミュニケーションを取る事の出来る能力」も求められますし、「引きこもり問題についての理解」も必要とはなります。
ですから、そのような能力をもった専門家の助けを得る事が、引きこもり問題を解決する糸口となります。
ちなみに、ご家庭によっては、外部の専門家を活用せずに身内だけで対応しようとされるケースもありますが、あまりお勧めは出来ません。
やはり、どれだけ学習されても、専門家の解決能力の水準には届きませんし、解決策のプランニングや実行の為には、「関係者が本音を話せる」や「冷静な分析が出来る」などの要素も大切です。この為、外部の専門家が作業した方が良い結果が出る可能性が高いのです。
引きこもり問題をFPに相談するメリット
これらの条件を踏まえて考えると、引きこもり問題を相談する専門家としては、ファイナンシャルプランナー(FP)の優位性が浮かび上がります。
まず、ファイナンシャルプランナー(FP)は、お金の専門家ですので、お金の問題を解決する為の専門知識を有しています。
「生活に必要となる資金についての分析」はFPが提供するサービスの基本です。また、「財産を残す為の相続対策」や「信託(家族信託)の仕組みを利用した生活資金供給の仕組み」などは、引きこもりが関係する案件以外でもFPが扱っているソリューションです。
ですから、「引きこもりの対象者が生活していけるように」という相談があれば、FPは様々な手段を用いて、その為の検討を行う事が可能です。もちろん、必要に応じ、他の専門家との協業も行います。
なお、「引きこもりの関係者がいる」という前提での相談をためらわれる方もいらっしゃいますが、日本FP協会に所属している正式な資格者であれば、守秘義務があります。また、FPは日頃から様々な事情を抱えた家庭の「お金の問題」を扱っており、複雑な事情に対応する事には慣れています。ですから、安心してFPに相談なさって下さい。
引きこもり問題の解決の為に貴方がすべき事
最後に、改めて強調しておきますが、現在、引きこもり問題の解決策を検討されている方の中には、「短期的に引きこもり問題を完全解決したい」と望まれる方も多いのですが、そのような解決策にこだわる事はお勧めできません。
長期の引きこもりとなっている対象者がいらっしゃる家庭においては、まず、「対象者が長期的に生活していく事の出来る生活基盤が用意できているのかどうか」という点を確認するようにして下さい。
その点に問題を抱えている場合には、将来、大変な状況が発生してしまう可能性が否定できません。早急に問題解決に取り組まれる事をお勧めします。
そして、FPは、引きこもり問題の解決に深く関係する「お金の問題」に対応する事が可能です。また、適切な機関や専門家を紹介する事を通じて、完全解決に繋がる道筋を準備するお手伝いをする事も可能です。
ですから、引きこもり問題の解決策で悩まれている場合には、一度、適切なスキルを持ったFPに相談してみて下さい。相談により、状況が大きく変化する可能性は十分にあります(相談するFPをお探しの場合には、当社でも相談をお受けできます)。